探偵業法逐条解説 第十二条 名簿の備付け等

第十二条 名簿の備付け等

名簿の備付け等

第十二条
探偵業者は、内閣府令で定めるところにより、営業所ごとに、使用人その他の従業者の名簿を備えて、必要な事項を記載しなければならない。
2 探偵業者は、第四条第三項の書面を営業所の見やすい場所に掲示しなければならない。

(1)従業者名簿の備付け(第一項)

探偵業者は、内閣府令で定めるところにより、営業所ごとに従業者名簿を備え付けることとなるが、この内閣府令では、備え付ける期間、記載事項等が定められることとなる。 従業者名簿について、同種の定めを置く規定例は数多く、例えば、風営適正化法は、風俗営業者等に、営業所ごとに従業者名簿を備え付けることを義務付け、
ア)記載事項として、性別、生年月日、本籍、採用年月日及び従事する業務の内容 イ)備え付け期間として、従業者の退職後3年間を定めている(内閣府令及び国家公安委員会規則)。

なお、従業者名簿は、労働基準法による労働者名簿で代替できる場合は、特に作成する必要がないこととされている場合が多い。また、いくつかの立法例を見ても、記載事項の定めは大差ないが、警備員についての検定、資格制度を設けている警備業法などは、記載事項についてやや詳細な規定を置いている。

また、ここにいう従業者は、先にも述べたように、正社員だけでなく、パート、アルバイト、契社員、派遣社員等も含む。さらに「労働者」に当たらない家族等についても、当該営業に関わる業務に 従事していれば記載することが必要となる。

(2)届出証明書の掲示(第二項)

探偵業者は、第四条第三項の書面を、営業所の見やすい場所に掲示しなければならない。
この、第四条第三項の書面とは、いわゆる届出証明書である。

この条項は、もとより、公安委員会が、立ち入り検査等を、届出証明書を参照にしながら行うことができるためという面もあるが、消費者である依頼者の保護に資するための規定でもある。

すなわち、依頼者は、探偵業者の営業所に相談に出向くことが多いと思われるが、その際、当該探偵業者が、実際に届出を済ませた業者であるか否かを確認することができるからである。

なお、許可制の場合、「許可」という行為自体が、「禁止の解除」という行政処分であり、「廃業時の許可証の返納」を規定している立法例は多い。
しかし、探偵業法は、探偵業について、実態把握のための届け出制を採用しており、風営適正化法の性風俗関連特殊営業の例にならい、届出証明書の返納義務までは規定しなかった。

なお、第十五条第ニ項に規定する営業廃止命令を受けた探偵業者が、命令を受けた後も、届出証明書を掲示して真正の探偵業者であるかのように装い、営業活動を行うような場合には、第十七条により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることになる。

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